2014年08月21日
ラストチャンス

なんでやねん!って言いたい。
お、なんでやねん!って言いたい?
うん。勢いよく言いたい。
分かりました。今からボケますから、なんでやねん!って言ってください。
分かった。なんでやねん!って言う。勢いよく。
うん、勢いよくね。行きますよ。
あー、明日は早起きせなあかんなあ、
8時起きやわ。
分かりにくい。
来い!
なんでやねん!って!
いやいや、
行けん。
8時起きってそこそこ早起きの部類に入んのとちゃうの。
ツッコむほど遅い時間でもないでしょ。
俺いっつも6時起きやん。
知らんけど。
お前がいっつも何時に起きてるとか知らんからさ、
もうちょっと分かりやすいボケにしてくれるかな。
あー、明日は早起きせなあかんなあ、
8時半起きやわ。
ちょっと分かりやすくなった。
ちょっと分かりやすくなったけども。
来い!
なんでやねん!って来い!
いや、行かれへんて。
ホンマにちょっとだけ分かりやすくしてどうすんねん。
もっとや。
もっと分かりやすいボケにして。
なんやねん、人が折角協力したってんのに。
いろいろ言いやがって。
それはゴメン。
それは申し訳無いけど、ボケが分かりにくいからさ。
なんでもかんでもお前の思う通りに行くと思うなよ。
世の中そんな甘ないぞ。
そんな難しい注文はしてないでしょ。
世の中で実現が厳しい程の注文はしてないですよ。
もっと分かりやすくボケてってだけの話やないか。
末っ子やからって甘やかされて育って。
今に痛い目見るで!
何で怒られてんねん。
お前がちゃんと分かりやすくボケたらええだけの話ちゃうんか。
なあ。
分かりやすくボケろや。
むかしむかし、ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
お、昔話ね。
みんな知ってる話やったらボケやすいね。
分かりやすい。
ええんちゃう。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おう。どっちや、竹が光るパターンか、川上からどんぶらこのパターンか。
おじいさんが山へ行くと、竹藪の中に一本だけ光る竹を見付けました。
竹の方や。
おじいさんは鉈で竹を割るために、家に鉈を取りに帰りました。
持っとけよ。
よしんば鉈が無くても、芝刈る気やったら鎌かなんか刃物持っとるやろ。
それでトライせえよ。
今!
え?
何?
今逃しましたよ!
なんでやねんチャンスを!
マジで?
ちょっ、もう一回チャンスくれ。
One more chance?
何それ。
言わなアカンの。
One more chance?
わ、One more chance。
おじいさんが竹を割ると、
中から玉のような男の子がどんぶらこ、どんぶらこと流れて来ました。
どういう状態やねん。
はい、また逃した!
いや、今のでなんでやねん!はおかしいでしょ。
あれが正解でしょ。
連続で逃してもう後が無いですよ。
いいですか、
次がラストチャンスです!
マジか。
これを逃せば、
一生チャンスは来ません!
一生!?
死ぬまでです!
なんでそんなことなんねん、
厳し過ぎるやろ。
おじいさんは竹の中から出てきた玉のような男の子をおばあさんにも見せてあげようと、
男の子を連れて帰りました。
そこはもう男の子で行くのか。
おじいさんが家に帰ると、おばあさんが持って帰って来た大きな桃の中から玉のような男の子が生まれました。
二人目や!
順番的に桃二郎と名付けられました。
惜しいな!
長男やったら太郎やったのに。
竹から生まれた子には、竹一郎と名付けました。
竹太郎ちゃうんかい。
それやったら桃の方に太郎付けたれよ。
桃二郎は家来の犬、猿、竹一郎を連れて鬼退治へ出掛けました。
竹一郎、家来なっとる!
長男やのに!
鬼との戦いで、竹一郎が重傷を負いました。
竹一郎おおお!
ガンバれ!竹一郎!
桃二郎一行は竹一郎の代わりにキジを仲間に加えました。
長男の代わりがキジってどういうことやねん。
竹一郎かわいそう過ぎるやろ。
回復を待ったれよ。
めでたし、めでたし。
何もめでたいこと無いよ。
竹一郎が重傷を負っただけの話になっとるやないか。
なんやねん、これ。
終ー了ー!
あ!
終わった!
どうですか、
なんでやねん!って言えましたか。
い、いや、
言えてないです。
ではあなたは死ぬまでなんでやねん!と言えませーん!
ええー、
マジでか。
でもあなたは「蜘蛛の糸」を知っていますかー?
最後の、
最後の、
最後のチャンスが有りまーす!
マジっすか!
でもあなたにはあげませーん。
なんでやねん!
あ!